理事長就任挨拶

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理事長
澤田 治司

 このたび当財団の理事長に就任することになりました。微力ながら財団の発展に力を尽くす覚悟でございます。皆様には今後とも一層のご指導、御鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 さて、当財団は初代理事長・故 桑原 潤氏(ヤクルト本社元会長)が平成4年2月に私財を投じて設立され、その後それを基本に、株式会社ヤクルト本社からの多大な支援によって運営されて参りました。
 設立以来21年を数え、その間、文部科学省をはじめ財団の各役員の皆様並びに諸先生方に多大なるご指導、ご協力を賜りました。ここに衷心より御礼申し上げます。なお、当財団は平成24年4月に公益財団法人への移行登記を終えました。この公益法人ではガバナンスの独立性、コンプライアンス、さらに透明性を従来に増して求められますが、内閣府をはじめ財団の各役員の皆様並びに諸先生方には一層のご指導をお願い申し上げます。

 当財団の設立目的は「①腸内フローラの研究分野における国際的な研究交流を推進し、腸内フローラの研究活動を行う研究者または研究機関に対して助成を行うこと、②腸内フローラの研究者の海外派遣または海外研究者の招聘に対して助成を行うこと、③腸内フローラを主体としたバイオサイエンスに関する普及啓発を目的として腸内フローラシンポジウムを開催すること、④その他、目的を達成するために必要な事業を行うこと」となっております。

 現在のような高齢化社会では、メタボリックシンドローム、生活習慣病の予防がますます重要になっており、肥満、糖尿病、高血圧、動脈硬化性疾患やアルツハイマー病等の基礎病態に慢性炎症が深く関与することが次第に明らかになってきました。現在、これらの病態の発症機序に腸内細菌叢の存在が大きな要因になっていることについて、国内外で検証が進行しており、多くの知見が得られています。近年では中枢神経機能発達における腸内フローラの役割に関する研究も進んでおります。また、炎症を制御する手段としてのプロバイオティクスの役割が免疫学の進歩を援用しながら今後益々明らかになっていくものと思います。腸内フローラがこの”炎症”の発生、進展、修復にどのように関わっているのかというテーマは、今後も重要な研究テーマとして取り上げられていくことでしょう。
 ヤクルト・バイオサイエンス研究財団設立以後20年間の助成については、研究助成334件、国際交流助成45件に及んでいます。これら助成対象となった多くの若手研究者がいまやこの分野の先端研究者としてご活躍されているのを見聞しており、ご同慶の至りです。昨年度は財団設立20周年の記念シンポジウムを開催いたしましたが、この腸内フローラシンポジウムは当財団の主な事業の一つであり、理研腸内フローラシンポジウムとして12年、ヤクルト腸内フローラシンポジウムとして20年の計32年の長期にわたって継続している世界でも稀かつ貴重なシンポジウムです。本年度の第21回は「腸内フローラとエコロジー−食事・栄養・環境因子−」というテーマで、国内外から第一線の先生方をお迎えして開催する予定であり、大いに示唆に富むお話が聴けるものと期待しています。

 最後になりましたが、公益財団法人ヤクルト・バイオサイエンス研究財団は、腸内フローラと健康に特化して、関連研究の発展を支援するものであり、世界的にも貴重な存在と思われます。腸内フローラと感染、腸内フローラと免疫、腸内フローラと生活習慣病などの研究はいまや先端科学研究としてこの10年間で飛躍的に進歩してきました。これらの進歩にささやかながらも当財団が貢献できたとすれば望外の喜びです。今後も当財団が腸内フローラの研究領域を発展させ、日本のみならず世界をリードする腸内細菌研究者を輩出することを大きな希望としています。これからはさらにグローバルな視点からの財団の発展を模索していきたく思いますが、これまで文部科学省、内閣府、財団の歴代役員と関係の皆様、ヤクルト本社には一方ならぬご指導とご支援をいただきましたことを改めて感謝申し上げますとともに今後共一層のご支援ご鞭撻をお願い申し上げます。

(2012.6.1)